はじめに
「子供にやりたいことをさせてあげたい。でも、自分たちの老後の面倒はかけたくない……」 「新NISAで運用しているお金、教育費に使ってもいいの?」
教育資金のピークと、自分たちの老後資金の準備期間は、完全に見事に重なります。どちらか一方に偏りすぎると、50代になってから「お金が足りない!」とパニックになることも。
今回は、共働き世帯が知っておくべき**「教育費 vs 老後の優先順位」と、後悔しないための資金配分**について解説します。
1. 鉄則:優先順位は「老後 > 教育」でいい
意外に思われるかもしれませんが、ファイナンシャルプランニングの視点では、自分たちの老後資金の準備を優先するのが正解です。理由はとてもシンプルです。
- 教育費には「奨学金」や「教育ローン」がある 子供の学びを支える手段は、親の貯金以外にもあります。
- 老後資金には「ローン」がない 自分の老後の生活費を貸してくれる銀行はありません。
親が老後破綻して子供に依存してしまうことが、子供にとって最大の経済的リスクになります。「まずは自分たちの地盤を固めること」が、結果的に子供を助けることに繋がります。
2. 「教育」と「老後」を両立させる3つのステップ
ステップ1:家計の「貯蓄率」を固定する
共働きなら、**世帯手取り収入の20〜30%**を貯蓄(運用)に回すことを目標にしましょう。
- 例:手取り40万円なら、月8〜12万円を先取り。
ステップ2:新NISAの「箱」を共有する
教育資金と老後資金を別々の口座で管理する必要はありません。新NISAの「つみたて投資枠」を使い、一つの大きな資産として育てます。
- 18年後(大学入学時): 必要な分だけを売却して教育費に充てる。
- その後: 残った分をそのまま運用し続け、老後資金にする。
ステップ3:退職金と年金を見える化する
共働きの強みは「厚生年金」が二人分あることです。 「ねんきん定期便」を確認し、将来もらえる額を把握しましょう。不足分を逆算することで、今の積立額が妥当かどうかが分かります。
3. 【年代別】バランスの黄金比イメージ
- 30代:【教育 7:老後 3】 子供が小さいうちは教育費がそれほどかかりません。今のうちに新NISAの種銭を増やし、複利の効果を最大化させます。
- 40代:【教育 5:老後 5】 塾代などの習い事が増える時期。家計管理をよりシビアにし、積立額を維持します。
- 50代:【教育 2:老後 8】 教育費のピーク。大学費用を出し終えたら、定年までの数年間で一気に老後資金をラストスパートさせます。
4. 共働き夫婦が忘れてはいけない「最大のリスク」
資産運用よりも大切な、究極のバランス対策があります。それは**「健康で長く働くこと」**です。
- 団信と保険の再確認: 住宅ローンがあるなら、万が一の際の住居費はカバーされています。過剰な保険料を払うより、その分を新NISAに回す方が合理的です。
- スキルアップへの投資: 共働きのどちらかがキャリアダウンするのではなく、二人で稼ぎ続けることが最大の防衛策になります。
まとめ:お金の不安を「自信」に変える
教育費と老後資金は、別々の敵ではありません。一つの「家族の資産」として、長期的な視点で育てていくものです。
まずは、夫婦で「60歳になった時、どんな生活をしていたいか?」を話し合うことから始めてみてください。ゴールが決まれば、今の積立額に自信が持てるようになりますよ。
